「交番」「カラオケ」「盆栽」「折り紙」「改善」・・・。
さて、一見バラバラに見えるこれらの単語の共通点は何でしょう。

 答えは“KOBAN” “KARAOKE” “BONSAI” “ORIGAMI” “KAIZEN”
と、全て外国でそのまま通じる言葉です。

 日本独特の文化などがそのままの言葉で外国に浸透しているというのは誇らしい気持ちになりますが、一方であまり嬉しくない言葉もあります。“KAROSHI(過労死)”や“ZANGYO(残業)”です。

 高度経済成長期にエコノミックアニマルと揶揄されつつもモーレツに働き続ける日本人は、それに同調するかのように脳血管疾患や心疾患で死亡するケースが増加。それは過重労働と因果関係があると1980年代初頭に「過労死」の概念が出来上がった背景があります。

 このように日本の労働スタイルの代名詞の様に不名誉な使われ方もする過労死ですが、ここ数年少し様相が変わってきました。

 日本では2007年頃から景気に陰りが見えるに従って請求件数、認定件数共に落ち着きを見せた代わりに、中国における過労死が爆発的に増えているというのです。お国柄から実態はよくわからないですが、年間60万人もの労働者が過労死しているというデータもあり、もはや日本を抜いて「過労死大国」となったと言っても過言ではありません。

 中国のホワイトカラーのうち有給休暇を取得しているのは3割で、付与日数も世界で最少。アンケートでは自分のことを健康ではないと思う人は60%にも達しています。またここ数年うつ病と不安神経症が急激に上昇しており、その患者数は6000万人を超えるといいます。また自殺者数も世界で最も多く、毎年11万人にも上るとのこと。これは原因の全てが仕事というわけではありませんが少なくともその一因であると考えられます。

 中国は非常に厳しい競争社会であり、特に都市部では仕事における売り上げのノルマや達成目標が極めて高いだけでなく住居問題や結婚などで非常に大きなストレスが労働者を苦しめている現実があるようです。

 何やら数十年前の日本を見るような感がなきにしもあらずですが、我々としても普段の生活や会社の中でも過度なストレスをなくし、適度なリフレッシュが行えるような環境づくりは引き続き取り組むべき課題であることに違いありません。生きていくために仕事をしているのに、仕事が原因で死に至るなど、これ以上“MOTTAINAI(もったいない)”話はないのですから。



●次回は「イギリスの年金制度」を取り上げる予定です。