2018年11月現在、国会では外国人就労のための新たな在留資格「特定技能」の創設に向けて議論がされているが、既存の在留資格「技能実習」にも追加がありそうだ。


政府は外国人が日本で職業訓練を受けるための在留資格「技能実習2号」の対象に、"宿泊業”を追加する方針だ。(2018.11.24 時事通信)

「技能実習」は日本の技能を途上国に移転するために一定期間日本で働いてもらう制度で、昨年法律が整備されたところだ。入国1年目の技能実習1号、2~3年目の2号、4~5年目の3号がある。1号から2号へは特定の職種でないと移行することはできない。

"宿泊業”は「特定技能」の14業種に含まれるが、この「技能実習2号」の移行対象職種ではなかった。

政府が今国会成立を目指す出入国管理法改正案は、「技能実習2号」を修了した者は「特定技能1号」に無試験で移ることを認めている。技能実習2号の対象拡大で特定技能1号の人材を確保する狙いがある。

「特定技能」の対象14業種のうち「技能実習2号」に含まれていないものに"外食業"があるが、これも移行対象職種に認められるとなると、「技能実習」の目的である 技能の移転 がぼやけてくる。

また、宿泊・飲食サービス業は他の産業と比較しても、離職率が非常に高い。

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※厚生労働省 「平成28年雇用動向調査結果の概況」から抜粋



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※厚生労働省「新規学卒者の事業所規模別・産業別離職状況」をもとに作成



人手不足が叫ばれる日本社会において、外国人人材がその助けとなる可能性は大いにある。しかし、労働環境や待遇などの見直しをしていかないと、外国人も離れていってしまうかもしれない。

逆に言えば、今この時代だからこそ社内の環境や制度を整えることで、将来的に選ばれる企業として存続することができるのではないだろうか。